水虫その1 水虫を徹底解剖しよう!
★水虫の正体を知ろう!
水虫とは、一言で言うと、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が皮膚に寄生して起こる感染症のことを言います。
カビにも種類がありますが、皮膚のいちばん外側の角質層に寄生するカビに「皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)」と呼ばれる種類があって、その代表が「白癬菌(はくせんきん)」です。
カビのことを医学用語では「真菌(しんきん)」と言うので、カビによって起こる病気を「真菌症(しんきんしょう)」、皮膚におこる真菌症を「皮膚真菌症(ひふしんきんしょう)」と呼びます。
また白癬菌が原因の場合は単純に「白癬(はくせん)」と呼ぶこともあります。
実は一般的に「水虫」と呼ぶのは、白癬菌が足や爪に寄生した場合で、白癬は場所によって病名が変わります。
頭部に寄生すれば「頭部白癬(シラクモ)」、内股に寄生すれば「股部白癬(インキンタムシ)」または「頑癬(がんせん)」とも言います、手に寄生すれば「手白癬(手の水虫)」、足に寄生すれば「足白癬(足の水虫)」、爪に寄生すれば「爪白癬(爪の水虫)」、それ以外の顔から足の甲まで、いわゆる体に寄生すれば「体部白癬(タムシ・ゼニタムシ)」となります。
いずれも聞いたことのある病名ですが、みな同じ菌なのですね。
★白癬菌(はくせんきん)を更に詳しく探ってみよう!
白癬菌は、皮膚の表面をおおっている角質層の成分であるケラチンというタンパク質を、ケラチナーゼという酵素で溶かして栄養源としています。
爪や髪の毛も皮膚の一部でケラチンを豊富に含んでいるので、寄生してしまいます。
白癬菌は、ほかのカビと同様に、高温多湿な場所が大好きです。
冬場のように低温で乾燥している状態では、なりをひそめて治ったようにも見えますが、暖かくなると再び動き始めて、ジメジメして蒸し暑い梅雨時から夏場にかけては、白癬菌の活動の最盛期を迎え、増殖して患部を悪化させます。
部位別に発症割合を見ると、足が60~65%で、爪が20%、体部7~8%、手が2%くらいです。
足が圧倒的に多いのには理由があります。
まず靴や靴下を長時間履き続けていると、皮膚が汗ばんで蒸れた状態になるので、白癬菌にとって大好きな場所になります。
次に感染経路。
白癬菌の感染力は、それほど強力ではありませんので、空気感染や直接接触したくらいでは、ほとんど感染しません。
しかし白癬菌の生命力は強く、はがれ落ちた皮膚の破片の中でも生きています。
ですから水虫の人が落とした皮膚の垢などを、素足で踏んで付着することで感染するケースが1番多いのです。
複数の人が使うバスルームの足ふきマットやスリッパなどが危険なアイテムです。
そして足の裏の厚み。
角質層は人の皮膚のいたるところにあるので、どこに水虫が住みついても不思議はありませんが、他の体の部分では角質層が1mmもないのに比べて、足の裏には数mmもの角質層があります。
いったんそこに白癬菌が住み着くと薬が浸透しにくく、なかなか死滅しません。
このような白癬菌の特徴を踏まえて対処をすれば、水虫も怖くはありません。
★足水虫の種類について
足の水虫には大きく分けて足の指の間にできる「趾間(しかん)型」、土ふまずなどに水ぶくれができる「小水疱(しょうすいほう)型」、足の皮膚が分厚く硬くなる「角化(かくか)型(角質増殖型)」があります。
●趾間型
いちばん多いタイプで、足の指の間(趾間)にできる水虫のこと。指の間が赤くはれあがったり、皮がむけたりします。また、皮が白くふやけてジュクジュクし(白色浸軟)、赤くむけてただれてきます(びらん)。ただれた皮のまわりにはむけた皮のふちが残り(鱗屑)、ときには皮が硬くなってひび割れた状態になることもあります。たいていの場合、かゆみがあります。皮をむしると、滲出液(しんしゅつえき)がしみ出し、痛みを伴う場合もあります。このような状態でブドウ球菌などの細菌に感染すると、赤く腫れあがってしまいます。
●小水疱型
2番目に多いのは、足の裏や側面など、毛の生えていない皮膚の厚いところにできる水虫。その名の通り小さな水ぶくれ(水疱:すいほう)が集まってできています。そのまわりが赤くなり、腫れてくることもあります。人によっては水ぶくれが目立たず、薄い皮がむけるだけの場合も。小水疱そのものが大きな水ぶくれになることはありませんが、細かい水疱が集まったかたちで水ぶくれのかたまりになることがあり、かゆみが強いのが特徴です。ちなみに、水ぶくれが破れたときに出る汁には白癬菌(はくせんきん)はいないので、この汁がついても水虫がうつることはありません。
●角化型(角質増殖型)
足底全体に皮膚が乾燥し、カサカサした状態。水虫とわかりにくいやっかいなタイプ。足の裏から足のふちまでガサガサして角質が厚く硬くなり、ボロボロと皮がむけたり、かかとがひび割れてアカギレのようになったりします。角化型は皮がむけ床に落ちるため家族への感染が多くなります。このタイプは、水虫が慢性化した状態でもあります。
このほかに、趾間型と小水疱型の症状が同時に見られる「趾間型+小水疱型」、がありますが、角化型は他のタイプと同時に発症することはほとんどありません。
★爪水虫とは
爪の水虫は、爪白癬(つめはくせん)と言います。
爪も皮膚の一部ですが、皮膚から分かれた組織で角質からできているので、カビが付いて水虫になります。
爪だけが最初から水虫になることはなくて、先に足白癬(あしはくせん)になってから爪にうつる場合がほとんどです。
爪白癬はどんな症状かというと、始めは爪の先が白くにごってきて、しだいに爪の甲から根もとへ拡がってきます。
爪の下の爪床(そうしょう)といわれる部分の角質層が厚くなって、ボロボロと爪がかけたり、凸凹したりします。
この厚くなった角質のすきまにホコリや、細菌が入り込むと、爪の甲が黄褐色や黒褐色になります。
爪がにごっていたら皮膚科へ行くことをおすすめします。
★手水虫とは
手の水虫は手白癬(てはくせん)と言います。
足と違って指の間がよく広がるので、角化(かくか)型と小水疱(しょうすいほう)型の症状が多いです。
角化型は手のひらの指のつけ根あたりからはじまって、手のひら全体から指へと広がって行きます。
足と同じように手の皮が硬くなって、ガサガサしてひび割れるようになります。
両手にできることは少なくて、だいたい片方の手にできます。
通常かゆみはありませんが、手の角化型の人は、指のつけ根に小水疱がわずかにできる人もいて、この場合はかゆみもあります。
手の場合は足よりも水虫であることがわかりにくいので、手荒れや湿疹と間違えて見当違いの薬を塗って治らない人が多いようです。
難治性の主婦湿疹である場合もありますし、手は皮膚科で見てもらった方が良いです。
★水虫によく似た病気・症状
水虫とよく似た病気・症状にはこんなものがあります。
●紅色陰癬(こうしょくいんせん)
紅色陰癬(こうしょくいんせん)は、コリネバクテリウム属の細菌に皮膚の表層部が感染する病気です。
皮膚と皮膚が接触する場所、すなわち、乳房の下、わき、足の指と指の間、性器周辺に多く発症します。
皮膚に不規則な形のピンク色の皮疹ができ、この病変がやがて、茶色くうろこ状にカサカサした状態に変わります。感染が胴体や肛門周辺に広がることもあります。
紅色陰癬は真菌感染症と混同されることがありますが、コリネバクテリウム属の細菌は紫外線照明をあてるとサンゴのような赤色に輝くので、すぐ診断がつきます。
●脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)
脂漏部位(あたま・かお・くび・むね・せなか)あるいは間擦部(わきのした・へそ・股部・肛門周囲・乳房の下)など豊富な脂漏が原因で発生した湿疹を脂漏性湿疹といいます。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)ともいわれます。
●疥癬(かいせん)
疥癬(かいせん)はダニ感染症で、皮膚に非常に小さく赤い隆起ができてひどいかゆみを伴います。
●掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひらや足の裏に膿の詰まった小さなぶつぶつができる、難治性の皮膚病です。
膿疱内に細菌は認められない。
●接触性皮膚炎
これはいわゆる、かぶれのことです。
かぶれる原因となるものに触ったときに発症します。かゆみ、ときには痛みもある。
●貨幣状湿疹
発疹のかたちが円形・楕円型・不整型の赤い斑状の湿った感じの湿疹を貨幣状湿疹といいます。
発疹のかたちから命名された皮膚病名ですから原因はいろいろです。
しょう液性丘疹(ジュクジュクした腫れ)と鱗屑(皮膚のはがれ)がみられ、しばしば湿潤します。
●カンジダ症
カンジダ菌の感染症。
紅斑、鱗屑、小膿疱、びらんがみられる。かゆみを伴い、夏に汗をかくときに多い。
●アトピー性皮膚炎
かゆみが強く、とくに小児に多い。 乾燥型から湿潤型までさまざまな程度の症状がある。
いずれにしても、これらの水虫によく似た病気・症状は、皮膚科に行って適切な治療を受けることが大事ですね。


